
必要なのは技術だけじゃない。
広い視野と知識が、
より良い結果を生み出す。
4~5歳のときから自宅にあったコンピュータに親しみ、小学生のときには簡単なプログラムも組んでいた押見歩は、当然のように、大学は情報系を専攻。就職も、雑誌で社名をよく見かけていた創夢を選んだ。
「雑誌に論文を出しているし、大学の研究室みたいな雰囲気だと聞いたので、研究開発的な仕事ができるかなと思って。入ってみたら、かなりちゃんとビジネスをやっていて、意外でしたが(笑)」

入社後は開発部門に配属され、主にネットワーク機器用組み込みソフトウェアの開発に従事してきた。そんな彼が、あるとき上司とともに手がけたのが、エンタープライズ向けネットワーク機器のセキュリティ機能を向上させるというプロジェクト。押見が担当したのは、Webからログインするシステムだった。
「ここで課題になったのが、速度の向上でした。Webサーバに、フリーソフトウェアを入れてカスタマイズするのですが、従来品は、まったくパフォーマンスが出ていなかった。そこを改良することが、今回の大きな眼目でした」
速度を向上させるには、適合する新たなWebサーバ用ソフトウェアを探して搭載する必要がある。しかし、フリーソフトウェアとはいえライセンスがあり、何でも自由に使えるわけではない。組み込み用だからサイズもあまり大きなものは使えない。もちろん、一定以上のパフォーマンスが出なければいけない。これらの条件を満たすものを、情報の海の中から見つけなければならないからだ。
「そこに必要なのは、プログラミングの技術よりも、最新の技術動向についての幅広い知識です。これだというものを探し出すのは意外と難しくて、誰でもできるものではありません」 リサーチの結果、押見は、二つのソフトウェアをピックアップした。一つは当時メジャーだった製品で、もう一つは、ソフトウェア新興国でつくられた無名の製品。上司と二人で双方を比較検討し、最終的に後者を選んだ。実際に搭載したところ、期待するパフォーマンスも出て、無事プロジェクトは終了したのだが、このストーリーにはうれしい後日談があった。
「僕たちが選んだ製品がどんどん普及してきて、今やかなりメジャーになっているんです」 先見の明を示したかたちとなったこのプロジェクトは、押見たちの小さな誇りとなっている。
※2008年10月時点での情報です


