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夜の果てへのマズルカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヴァレリー・アファナシエフ ピアノ・リサイタル
ショパン/クラム1999
1999年7月10日(土)18:00開場 18:30開演
会場:水戸芸術館コンサートホールATM
料金(全席指定):A席4,000円 B席3,000円
チケット発売:4月24日(土)
ショパン:
マズルカ 第13番 イ短調 作品17の4
第17番 変ロ短調 作品24の4
第28番 ロ長調 作品41の3
第20番 変ニ長調 作品30の3
第21番 嬰ハ短調 作品30の4
第32番 嬰ハ短調 作品50の3
第34番 ハ長調 作品56の2
第40番 へ短調 作品63の2
第41番 嬰ハ短調 作品63の3
第47番 イ短調 作品68の2
第49番 へ短調 作品68の4
クラム:〈マクロコスモス〉第1集(全曲)
1.始原の響き(創生T) "巨蟹宮"
2.プロテウス "双魚宮"
3.牧歌(紀元前10,000年のアトランティスの王国から) "金牛宮"
4.十字架 "磨羯宮"
5.幻のゴンドラ乗り "天蠍宮"
6.夜の魔法T "人馬宮"
7.影の音楽(エオリアン・ハープのための) "天秤宮"
8.無限の不思議な輪(永久運動) "獅子宮"
9.時の深淵 "処女宮"
10.燃えいずる火 "白羊宮"
11.夢の影像(愛と死の音楽) "双子宮"
12.らせんの銀河 "宝瓶宮"
ショパンとクラム―2人のロマン主義者が、時を超えて出会う。
鬼才アファナシエフが仕掛ける、夏の夜のピアノ・ファンタジア。
1983年。ヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルの来日公演プログラムには、
奇妙な曲目が記載されていた。ジョージ・クラム〈マクロコスモス 第1集〉。
多くの聴衆にとって未知のその曲がいよいよ演奏されようという時、「主役」のはずのクレーメルは舞台上から姿を消し、
「伴奏役」ピアニストだけが残った。ピアノに顔を突っ込むように演奏を始めたその異貌の男に、
はじめ聴衆は唖然とし、やがて幻想的に広がる音宇宙に心を奪われた。ピアニスト、
ヴァレリー・アファナシエフが私たちの前に姿を現した、衝撃的な瞬間だった。
「零度の叙情」「冥府の音」と評されたシューベルトのソナタ。
40分以上かけて演奏し、聴き手を金縛りにしたシューマンの協奏曲。
舞台劇仕立てにされたムーソルグスキイ〈展覧会の絵〉。
熱狂と困惑を巻き起こしながら、私たちを挑発してやまないピアニスト、
それがアファナシエフだ。強靭な打鍵に支えられたピアニズムは、軽やかに疾駆するよりはむしろ、
一歩一歩踏みしめるような足取りの重さを選ぶ。
その、時間も凍りつく遅さに目眩すら覚えながら、私たちはいつしか作曲者の心の奥の原風景を、
アファナシエフと共に旅することになる。
1999年。水戸芸術館リサイタルのプログラムに、アファナシエフはショパンとクラムという、
時代を異にする2人の作品を組み合わせた。
まず没後150年を迎えるショパンの「心の日記帳」ともいうべきポーランド舞曲マズルカを11曲、
その生涯を追うようにほぼ発表順に並べて。
そして、占星術や神秘主義に傾倒する謎めいたアメリカのネオ・ロマン主義者クラム(1929年生)の、
アンプで音を拡大し内部奏法から声、
口笛までが用いられる「黄道十二宮にちなむ12のファンタジー・ピース」、
〈マクロコスモス(大宇宙)〉を。2人の作曲家の内的宇宙は、アファナシエフの手によって、
どのように遭遇し、交感するのか?星空きらめく夏の夜、
水戸芸術館史上もっとも議論を呼ぶこと必至のピアノ・リサイタルが開幕する!
*本公演は水戸芸術館のみのオリジナル・プログラムです。
「演奏会は、そして人生の瞬間瞬間は新たな発見であり、冒険なのです」―ヴァレリー・アファナシエフ
(高橋悠治との対談にて/1994年「オン・ステージ新聞」)
1947年モスクワ生まれ。モスクワ音楽院で、ヤーコブ・ザークとエミール・ギレリスに師事。
68年ライプツィヒのバッハ国際音楽コンクール第1位入賞、72年ブリュッセルのエリーザベト王妃国際コンクール優勝。
73年モスクワ音楽院を卒業後、74年ベルギーに亡命。以後、世界各地でリサイタルを行うほか、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団など様々なオーケストラと共演している。
また、近年はオーケストラの指揮者としても活躍している。現在はフランスに在住。
日本には83年、ヴァイオリニスト、クレーメルの共演者として初来日。
87年には第3回〈東京の夏〉音楽祭で初めてソロ・リサイタルを行い、熱狂的な反応を呼び起こす。
92年にはブラームス:後期ピアノ曲集のディスクによってレコード・アカデミー賞器楽曲部門を受賞。
94年の第10回〈東京の夏〉音楽祭では、ピアニスト・アファナシエフが作曲者ムーソルグスキイと対話しながら演奏するという音楽劇〈展覧会の絵〉を上演して反響を呼んだ。
バッハやフローベルガーから古典派、ロマン派、現代作品まで幅広いレパートリーを持つピアニスト、
アファナシエフ。その演奏スタイルは、聴くものに忘れがたく強烈な印象を与える。
独特なデュナーミクとアゴーギグ、時に極度に遅いテンポ。
弾きながら思索するかのような、身ぶり豊かな演奏姿。様式から逸脱した異形の奏者か?
あるいは恐るべき分析力で聴き手の想像力を刺激してやまない天才か?―彼の存在は常に、賛否両論の只中にある。
アファナシエフの活動は、ピアノ演奏にとどまらない。
シアター・ピース〈アンコール〉〈ル・ビス〉を書く作曲家であり、また『失踪』『バビロンの陥落』『ルートヴィヒ2世』などの小説を発表する文学者でもある。
ナボコフ、ボルヘス、ベケット、カフカ、ジョイス等を愛読し、
ヴィトゲンシュタイン、道教思想、インド哲学に傾倒するアファナシエフ。
そう、シューベルトを「悲惨の王」と呼び、「現代のショパン受容には大きな誤解がある」と痛烈な批判の矢を放つその過激な言動(とその演奏解釈)は、
広大な知の領域を狩猟する中で手に入れた、深い洞察力に支えられているのだ。
賛否はともあれ、アファナシエフの演奏は、どんな作品にも「いまを生きる」衝撃力をあたえずにはおかない。
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