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光の空間森 司(水戸芸術館現代美術センター学芸員) |
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| 多面体構造の骨格となるスティール製のフレームと20面体の表面を構成する正三角形 が連続したアクリル板。そこに装着される光源となる6つのLEDを付けた星形の1000 枚のプリント基板。基板をつなぎ、電気信号を伝えるコードのリール。この作品の心 臓部となる、まだプログラムされていない石、チップ群。それらがまさにマテリアル の山として搬入されたその日から、プログラマーはチップのための最終プログラムを 不眠不休で続け、森脇チームは一つの基板に18本のコードと小型のスピーカーとプロ グラムを焼き込まれた小型の1チップマイコンを付ける作業を延々と続けた、4日後 に「Geo-Sphere」は姿を表した。 森脇は、これまでの仕事のエッセンスのすべてを「Geo-Sphere」に投入し、集大成と なるべく計画し、この作品の制作にあたって3ヶ月以上にわたって周到に準備を重ね た。コンピュータによるシミュレーションを行い、構造計算をし、すべてが理にか なっているか、素材の手配と用意をしながら続けたのである。すべては一つのビジョ ン「光の空間を創ってみたい!」から始まった。その『光の空間』のビジュアルイ メージは、湖面に石を投げ入れた時の波紋のように、情報を瞬時に伝達する状況を光 で表現する装置である。その結果、刺激の強弱判断可能なワンチップマイコンが900 個近く並列につながった、6000個の光源を持つ電気信号の網の目が組み上げられた。 静寂時を6000個のLEDは、通電していることを示す光の点滅とリズムを刻む音で表 し、そして石を投げ込むように基板中央のスイッチを押すと、LEDは光量と音量を増 して外に向かって広がって走るように設計された。膨大な作業量の末に完成した作品 は、森脇の計算通りに作動し、ランダムなざわめきを表現することに成功した。 森脇の当初計画では、光の動きの魅力が半分、回路のオブジェ的な魅力は半分、足し て一つと考えられていた。故に、基板が視覚できる薄暗がりの明るさの中で見せる予 定であった。そのために星形のプリント基板は、森脇の美学を端的に見せる仕事の一 つであるMORIWAKIT(MORIWAKI+KIT)の流れをくむ。美しく見えることが目的とさ れる レベルで線を引いた基板は、機能と形態をより高次元で一元化する森脇イズムの 現れだ。視覚的なキャッチ力があることも星形を選んだ理由の一つであろうが、より 積極 的な理由は、正三角形上の編み目の連続体として組み上げる際の、6方向への コード の取りに無理がない点にある。 しかし、夜空に瞬く星にとって、夕暮れ時の薄暗がりでは明るすぎるように、 「Geo-Sphere」の『光の空間』も、姿形の見えぬ暗闇の中で初めてその真の全貌を明 らかにした。またたく光群の美しさに魅了され時を忘れた我々は、コンセプトとロ ジックを消化させて表現へと変容させたい衝動を抱えたテクノロジーアーティスト森 脇は、<夢を見る夢を見た...I,II>(94,95制作)の延長線上に発展形としてプランニ ングした「Geo-Sphere」で完全にそれを手にした。ロジカルであり且つ形状として美 しい存在を目指して組織されたマテリアル群が感動的な美しさを秘めた『光の空間』 を表現する作品として、有機的な生命体「Geo-Sphere」に変貌した瞬間でもあった。
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