| ブーレーズの肖像 -- 監修:ピエール・ブーレーズ |
第二次世界大戦が終わって間もなくのこと。戦争を引き起こした前の時代に逆戻りしたくはないという想いの下、今まで聴いたことのないような新しい音楽を創っていこうと、才能溢れる若い作曲家たちが、次々とそのキャリアをスタートさせた。こうした前衛作曲家たちのなかでも、指導的な役割を担い、先頭を走っていたのが、ピエール・ブーレーズである。<ル・マルトー・サン・メートル>は、ブーレーズが最も先鋭的だった時代の傑作。戦中のレジスタンスの英雄と目された詩人、ルネ・シャールのテクストが用いられている。また、声、アルト・フルート、ヴィオラ、ギター、打楽器という発音原理の異なる多彩な楽器が組み合わされている。打楽器は東南アジアやアフリカの音楽を、ギターの特殊奏法からは日本の箏の音さえ想起させる。文化の垣根を越えた、地球規模の新しい響の創出が試みられているのだ。ストラヴィンスキーは、1957年、この作品を「今の新しい時代の中で真に価値ある唯一の作品」と称している。
1970年前後から、ブーレーズの作品に変化が見られるようになる。その変化は、戦後の闘争から自由になり、より大きな視座で音楽を眺めるようになったとでも言えそうだ。<シュル・アンシーズ>は、ブーレーズのこうした“今”を代表する作品で、純粋な音楽の構成美が、音楽の未来を予見させる。この作品の編成はとてもユニークで、3台のピアノ、3台のハープ、3グループの打楽器というもの。これらが舞台上にシンメトリックに配置され、立体的な音響空間が創り出される。また、すべての奏者に名人芸が要求されており、華麗な妙技の競演が行われるという点も、魅力のひとつだ。
公演に先立ち、水戸芸術館友の会主催で「最先端の音楽をキャッチしよう!--ブーレーズの作品を楽しむ--」と題しました講演会を開催いたしました。
担当学芸員によりますレクチャーの主要部分を、realplayer と iTunes でご覧いただけるファイルをご用意いたしました。
こちらからぜひご覧ください。
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| (Photo: Philippe Gontier) |
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