水戸芸術館コンサートホールATM(水戸芸術館音楽部門)

財団法人水戸市芸術振興財団
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ブーレーズの肖像 -- 監修:ピエール・ブーレーズ


若き日の「闘争」、そして今、たどり着いた「地平」

第二次世界大戦が終わって間もなくのこと。戦争を引き起こした前の時代に逆戻りしたくはないという想いの下、今まで聴いたことのないような新しい音楽を創っていこうと、才能溢れる若い作曲家たちが、次々とそのキャリアをスタートさせた。こうした前衛作曲家たちのなかでも、指導的な役割を担い、先頭を走っていたのが、ピエール・ブーレーズである。<ル・マルトー・サン・メートル>は、ブーレーズが最も先鋭的だった時代の傑作。戦中のレジスタンスの英雄と目された詩人、ルネ・シャールのテクストが用いられている。また、声、アルト・フルート、ヴィオラ、ギター、打楽器という発音原理の異なる多彩な楽器が組み合わされている。打楽器は東南アジアやアフリカの音楽を、ギターの特殊奏法からは日本の箏の音さえ想起させる。文化の垣根を越えた、地球規模の新しい響の創出が試みられているのだ。ストラヴィンスキーは、1957年、この作品を「今の新しい時代の中で真に価値ある唯一の作品」と称している。 1970年前後から、ブーレーズの作品に変化が見られるようになる。その変化は、戦後の闘争から自由になり、より大きな視座で音楽を眺めるようになったとでも言えそうだ。<シュル・アンシーズ>は、ブーレーズのこうした“今”を代表する作品で、純粋な音楽の構成美が、音楽の未来を予見させる。この作品の編成はとてもユニークで、3台のピアノ、3台のハープ、3グループの打楽器というもの。これらが舞台上にシンメトリックに配置され、立体的な音響空間が創り出される。また、すべての奏者に名人芸が要求されており、華麗な妙技の競演が行われるという点も、魅力のひとつだ。

ブーレーズは、今回の演奏会の出演者として、次世代の若い才能たちを選出した。指揮者は、ジャン・ドロワイエ。<ル・マルトー・サン・メートル>に出演する歌手は、ヒラリー・サマーズ。2人ともブーレーズが大きな信頼を寄せる俊英である。そして、器楽演奏者について、ブーレーズは、現在、氏が後進の育成のために心血を注いでいる、スイスのルツェルン国際音楽祭の中で実施している、ブーレーズ・アカデミーに参加する若く優秀な音楽家たちを推薦した。ブーレーズ・アカデミーは、2004年から本格的に開始されており、オーディションに合格したおよそ30にも及ぶ国の若者たちが、毎年8〜9月にかけての3週間、現代作品の演奏の研鑽を積んでいる。水戸での公演には15名の精鋭たちが参加する。水戸公演に先立ち、今年のルツェルン国際音楽祭で全く同じ出演者、プログラムの演奏会が予定されている。ルツェルンで、ブーレーズ立会いの下、徹底的なリハーサル、そして演奏会を経て、彼らは水戸に乗り込んでくる。巨匠ブーレーズの奇蹟とも呼べる音楽探究の道程が、21世紀を担う新しい世代に受け継がれようとしている。

2007年 9月14日 (金) 19:00開演 (18:15開場)
*発売時は「18:30開場」とお知らせいたしましたが、開演前にブーレーズ・ビデオ・メッセージの上映を追加させていただきました関係で開場が15分早まりました。 ぜひお早めにご来場になり、ビデオ・メッセージをご覧ください。
会場:水戸芸術館コンサートホールATM

ブーレーズ・ビデオ・メッセージ
演奏会に先立ち、ブーレーズが水戸の聴衆に贈ったビデオ・メッセージを上映します。
時間:18:30〜18:45
*ご覧いただくには『ブーレーズの肖像』公演のチケットが必要となります。

プログラム
ブーレーズ:ル・マルトー・サン・メートル(主のない槌)(1953-55)
Boulez: Le Marteau sans maitre (1953-55)
ブーレーズ:シュル・アンシーズ(1996-98)
Boulez: Sur Incises(1996-98)

指揮:ジャン・ドロワイエ
コントラルト:ヒラリー・サマーズ
器楽:ルツェルン・フェスティヴァル・アカデミーの演奏家たち
おはなし:白石美雪

この公演では、ブーレーズ氏が現在、後進の育成のために力を注いでいる、 スイスのルツェルン・フェスティヴァル・アカデミーの今年の参加者の中の選りすぐりのメンバーが、 出演者として登場します。 しかも、水戸公演に先立ち、水戸公演と同じプログラムの演奏会をルツェルンで開催することになっています。 彼らはブーレーズ氏およびアンサンブル・アンテルコンタンポランのメンバーの立会いのもと、リハーサルを積み重ね、演奏会を行います。

そのような今年のルツエェルン・フェスティヴァルのブーレーズ・アカデミーの様子を、 音楽学者の笠羽映子さんが現地からレポートしてくださっており、ここにそのレポートを皆様にお届けしたいと思います。
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公演に先立ち、水戸芸術館友の会主催で「最先端の音楽をキャッチしよう!--ブーレーズの作品を楽しむ--」と題しました講演会を開催いたしました。 担当学芸員によりますレクチャーの主要部分を、realplayer と iTunes でご覧いただけるファイルをご用意いたしました。 こちらからぜひご覧ください。



主催:財団法人 水戸市芸術振興財団
共同制作: ルツェルン・フェスティヴァル・アカデミー
助成: 芸術文化振興基金
後援: スイス大使館

料金(全席指定):一般:4,000円/学生:1,000円/ペア券(限定100組)7,000円
*学生券・ペア券は水戸芸術館のみの取り扱いとなります。


チケット好評発売中

館エントランスホールチケットカウンター
(9:30〜18:00、月曜休)

館チケット予約センター
Tel. 029-231-8000(9:30〜18:00、月曜休)

MUSIC SHOP かわまた
Tel. 029-226-0351

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Tel. 029-224-2861

チケットぴあ
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「ATM速報」受信のお客様は、 こちらからご予約をどうぞ。
発売日午前 9時30分以降完売または公演前日まで
24時間無休でご予約を承ります。







(Photo: Philippe Gontier)

ピエール・ブーレーズ Pierre Boulez(作曲家、監修)

ピエール・ブーレーズは、第二次世界大戦直後から今日まで、最も大きな影響力をもつ作曲家・指揮者の1人である。1925年生まれ。オリヴィエ・メシアンやアルノルト・シェーンベルクの弟子のルネ・レイボヴィッツに学ぶ。46年、ルノー=バロー劇団の音楽監督に就任。54年、現代音楽を紹介する演奏会シリーズ「ドメーヌ・ミュジカル」を創設。50〜60年代には、その活動のかたわら、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会、バーゼル大学、ハーバード大学にて教鞭を取る。また76年にはコレージュ・ド・フランスの教授に任命された。 67年、クリーヴランド管弦楽団客演首席指揮者に就任。71年には、BBC交響楽団首席指揮者、ニューヨーク・フィルハーモニック管弦楽団音楽監督に就任。72年、当時のフランス大統領ジョルジュ・ポンピドゥに招かれ、コンピュータなどのテクノロジーと融合した新しい芸術音楽の創作を探究する、国立音響・音楽研究所(IRCAM)の設立の準備に着手。76年、現代音楽をレパートリーの中心とする楽団、アンサンブル・アンテルコンタンポランを創設。77年、IRCAMの所長として活動を開始する。91年、IRCAM所長を辞任、名誉所長となる。 指揮者としてのブーレーズは、新ウィーン楽派の重要な理解者として広く知られる一方、ヴァーグナー、マーラー、ストラヴィンスキー、バルトーク、ドビュッシー、ラヴェルそしてメシアンの作品などを数多く指揮、録音している。76年のバイロイト音楽祭/バイロイト開場100年記念で<ニーベルングの指環>を指揮、また<パルジファル>でも同音楽祭に度々参加している。最近の活動としては、アンサンブル・アンテルコンタンポランとの公演を始め、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、クリーヴランド管弦楽団そしてシカゴ交響楽団などで指揮者を務めている。 2003年にルツェルン・フェスティヴァル・アカデミーを創設。ブーレーズの生き様と作品は、まさに20世紀後半から今日に至る同時代音楽の生成と変遷を写す鏡である。

主要作品に、<ストリュクテュール(構造)>第1巻(1952年)、同第2巻(56-61年)、<プリ・スロン・プリ>(57-84年)、<エクラ>(65年-)<弦楽のための書>(68年-)、<爆発-固定>(71-91年)、<レポン>(81-84年)、<二重の影の対話>(82-85年)などがある。



ジャン・ドロワイエ Jean Deroyer(指揮者)


1979年、フランス生まれ。パリ国立高等音楽院に15歳より入学。
2001/02シーズンには、アンサンブル・オルケストラル・ド・パリのジョン・ネルソンのチーフ・アシスタントを務める。 ドミトリ・シトコヴェツキやヤーノシュ・フュルストなどにもつくかたわら、シャトレ座やカーン劇場製作の公演に参加。
04/05シーズンには、ブーレーズの80歳記念コンサートに際し、アンサンブル・アンテルコンタンポランの招待指揮者に抜擢される。
05年9月には再びアンサンブル・アンテルコンタンポランの招待を受け、フィリップ・フェヌロンの作品を指揮する。 フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団で再演。ルツェルン・フェスティヴァル・アカデミーでは、ブーレーズのアシスタントを務める。
07年の同アカデミーでは、ブーレーズ、エトヴェシュと共にシュトックハウゼンの<グルッペン>に出演、第3指揮者を務める。



ヒラリー・サマーズ Hilary Summers(コントラルト)


イギリスの南ウェールズ・ニューポート生まれ。
1999年、エリオット・カーターのオペラ<What Next ?>(ダニエル・バレンボイム指揮)にてステラ役を演じる。 また、2002年、エクサン・プロヴァンス音楽祭でエトヴェシュのオペラ<Le Balcon>でイルマ役を演じる。
02年より、ピエール・ブーレーズ、アンサンブル・アンテルコンタンポランとともに、ブーレーズの<ル・マルトー・サン・メートル>をヨーロッパ全土で公演。 この公演(ドイツ・グラモフォン録音)で05年、グラミー賞を獲得する。 シカゴでのブーレーズの生誕80年記念では、ブーレーズ指揮、シカゴ交響楽団による<婚礼の顔>の演奏に参加する。
イギリス本国では、作曲家マイケル・ナイマンと特に親交があり、彼の多くの映画音楽のサウンドトラックに参加している。
07年には、アンサンブル・アンテルコンタンポランとの共演で、シェーンベルク作曲<月に憑かれたピエロ>の演奏を予定している。



ルツェルン・フェスティヴァル・アカデミー2007 水戸公演出演者

<ル・マルトー・サン・メートル>
サクラ・キンディニス(フルート)[フランス]
ミランダ・ズィラッフ(ヴィオラ)[アメリカ]
エマヌエル・フォルニ(ギター)[イタリア]
フロリアン・コキール(パーカッション)[フランス]
ジョナサン・ヘプファー(パーカッション)[アメリカ]
マット・カンタースキー(パーカッション)[アメリカ]

<シュル・アンシーズ>
アイーダ・アラゴネセス(ハープ)[スペイン]
ブルーエン・レフリエク(ハープ)[フランス]
ミリヤム・オーバーラッハ(ハープ)[ドイツ]
アンナ・デリコ(ピアノ)[イタリア]
オリバー・ハーゲン(ピアノ)[アメリカ]
ヨナス・オルソン(ピアノ)[スウェーデン]
アレクサンダー・リポウスキー(パーカッション)[アメリカ]
マイケル・トゥルースデル(パーカッション)[アメリカ]
ベンジャミン・ウィンタース(パーカッション)[アメリカ]




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