特 集

cafe168の夢を語ろう(1)


cafe168は誰にでも開かれた場であり、登録メンバーは様々に活動してゆく可能性をもっています。私たち、美術教育ボランティアもこれまでの活動において、ささやかながら自前の企画を行ってきました。実現できなかった企画も、実現しつつある企画もあります。私たちもcafe168の登録メンバーとなり、さまざまな企画に大きな期待を抱いています。それでは、みなさんにcafe168での夢を語ってもらいましょう。


■アートのオリンピック:所伸郎

 デュシャンの類似の作品で氾濫した展覧会はあっても、デュシャンほど革新的な展覧会は稀である。コンテンポラリーアートは既にコンテンポラリーの歴史的役割を終止させたかのようにみえる。私の夢はこの視点から始まる。

 アンデパンダンでもないし、ビエンナーレでもないので便宜上オリンピックと呼びたい。アマ・プロ区別なし、学歴を問わない、経歴を問わない、作品だけを問う疑似競技会形式の展覧会をコンテンポラリーアートの推進者を自認する人により四年に一回、企画、実行するのが私の夢です。水戸芸術館のボランティアに三年間籍を置いた経験の集約として、コンテンポラリーアートを専門家の手から解放して才能有る者達へと委譲させることが必要であるとの結論に達した。コンテンポラリーアートは最先端を指向しているにも拘わらず現実のさまざまな制約のためにその使命を放棄しつつあり、危機に瀕している。一つは学芸員の挑戦意欲の低下、既に評価されたアーティストに依存する傾向。コンテンポラリーアートを正しく認識しない周辺のスタッフによる保守的傾向或いは評論家達の混乱したアート観、ほとんど理解しない政治家、役人達の無関心などなど。これらの危機を解消させる方法の一つは、コンテンポラリーアートの可能性を信じられる人達を水戸芸術館に集結させ、アートのオリンピックを開催することである。オリンピックであるからには予選あり、本選での審査あり、金銀銅の栄誉ありと肉体ではなく知力を競うことになる。予選はcafe168の専任のメンバーが明確な基準に基づき振り分ける。彼らは日々、コンテンポラリーアートの定義を検討し、記録する。本選では、部門毎に投票による審査をすることになる。部門とは一般の来館者、cafe168メンバー、学芸員、学芸部スタッフ、館長、市長、事務局の職員、評論家、新聞社学芸員、美術館学芸員、学校の先生、会社の管理職、会社員、パートのおばさん、芸能人(歌手、俳優)、作家、写真家などなど考えられる限りのグループ。例えば、パートのおばさん部門ではパートのおばさん達が金賞、銀賞、銅賞、入選の作品を選ぶことになる。この点に私が夢見るオリンピックの個性がある。世界的に歴史的にユニークな展覧会である。つまり多くの人に来館していただき、審査する実態を明確にして評価し世に送り出すのである。各部門毎の金賞の受賞者には企画展の参加の機会を与えることになる。コンテンポラリーアートの未来は誰にも予測不可能であるゆえに、できる限り多数の人に評価を委ねその可能性を模索するこの試みは必ずや世界の注目を得て、水戸芸術館はセンターとしての機能を確立することになるであろう。

*本ページの内容は、1997年3月31日発行当時のものです。



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